5Gが普及して成功する企業はどこだろう

数年前、シリコンバレーに行った時に大学のOBに出会い話したことがある。その先輩が大学時代、就活せずに研究室で過ごしていたところ、モトローラに入社した先輩が研究室へやってきて「仕事辞めるんだけど、入らない?」と言われてモトローラに就職したと言っていた。その後、ノキアマイクロソフト、アップルと渡り歩いた方なのだが、英語を使って仕事をするようなことは求めていなかったと言っていた。モトローラに入社する時も「外資系だけど、英語はそんな使わないから...」と言われたが就職して、最初のMTGが英語だったとのこと。

モトローラで所属していた部署が買収されノキアへ。さらにまた、所属していた部署が買収され、マイクロソフトへ。マイクロソフトの所属していた部署がなくなり、レイオフで仕事がなくなった後、アップルへ就職した。その話を聞いた時は、そんなこともあるのか、すげぇなあと思っていた。

最近ノキアとアップルについてざっくり知ったのだが、その先輩がそんな経歴を辿った背景をようやく知った。というか、自分が携帯端末に関わる話を全然知らなかっただけなのだが、以下にすごくざっくり書く。

Motorola DynaTAC

モトローラは世界初の携帯端末「Motorola DynaTAC」を販売した(1983)。ベル研究所で研究開発がされていたらしい。(現在ではベル研究所ノキアに買収されている)Motorola DynaTAC - Wikipedia

世界の携帯端末シェアはノキアに抜かれる1998年までずっとトップだった。現在はモトローラはグーグルに買収され(2011)、レノボに売却されている(2014)。

ノキアの台頭

ノキアは1865年、製紙会社としてフィンランドに設立された。後に携帯端末メーカーへ転身していく(ココらへんの話も面白いらしい)。そして携帯端末シェアトップの企業になった。その背景には通信の自由化やGSMの普及があった。通信自由化 - Wikipedia

今日の、特に日本ではあまりGSMは馴染みがないが、EU統一後に通信の規格も統一するということで、10年かけてGSMが作られたらしい。Mobile:世界標準“GSM”とはいったい何か?

当時ノキア発展途上国をターゲットにシェアを拡大した。先進国では通信事業者が競合に勝つためにメーカーに新しい機能を要求するなど、競争環境が激しかった。途上国では通信インフラが整っていない。固定電話も都市部くらいしかなかった。ノキアは自社で売る基地局とともに進出した。つまり携帯端末事業と基地局事業を連携してうまく進出していった。途上国では電池が長持ちし、耐久性のある携帯であれば売れる。ノキアは研究開発にも力を入れていた。また、そもそも途上国のニーズを知るために研究もしていたようである。【BtoBマーケティング】文化人類学的な視点でのコンサルティングアプローチはいかが?

発展途上国でもスマホはけっこうみんな持ってるらしい」みたいなフワッとした話を聞いたことがあったが、なるほどノキアがその下地を作っていたのか。

その他、途上国で売るために現地に詳しい人を雇い流通・販売網を整備したりコスト削減のために工場を各国の主要都市に設置し、部品メーカーを近くに誘致するなどしていた。

結果、ノキアモトローラのシェアを抜くことができた。

iPhone

iPhoneのターゲットは西海岸にいるような、新しくかっこいいものを欲しがるようなユーザだった。技術的に目新しいものはないが、優れたデザインでプロダクトに思想があった。高単価なこともあり、販売台数の増加とともにノキアはあっという間に売上で抜かれてしまった。

また、ノキアがシェアを落としてしまったのは、Androidの登場により携帯端末を格安で売る中国の企業などが現れたからである。特にサムスンが成功し、2011年にノキアを抜き、シェアトップとなった。なぜサムスンはアンドロイドメーカーとして成功しているのか:Horace Dediu | maclalala2

(サムスンエスノグラフィーなどの手法を取り入れていると前に聞いたことがあるが、これはもしかしたらノキアをお手本にしたのかもしれない。)

Appleにより携帯端末業界に変革が起こった。その優れた製品以外に、何が功を奏したのか。

ノキアは開発から部品調達、生産、流通販売まですべて自社でやっていた。いわゆる垂直統合型モデルである。アップルは生産は台湾の鴻海精密工業に委託するなど水平分業モデルである。ameblo.jp

アップルは、今までのバリューチェーンにレイヤー構造を持ち込み、ユーザとの接点をコントロールした。流通も1国1社、販売はアップルストア、アプリの審査もして、UXは自社のOSでコントロール、ハードウェアの設計もやる。

ノキアモトローラの無線ネットワーク機器事業を買収した。私の先輩はこのタイミングでノキアへ行ったのだろうか。この買収は携帯端末事業というより、無線インフラ事業の強化のためだろう。

ノキア・シーメンス、モトローラの無線ネットワーク機器事業の大部分を12億ドルで買収へ - CNET Japan

その後、携帯端末事業で出遅れたマイクロソフトによりノキアは買収される。

世界最大の携帯電話メーカーNokiaがMicrosoftに買収された裏に何があったのかを明かす「Operation Elop」がついに全文英訳され公開へ - GIGAZINE

ノキアの端末はシンビアンからWindows Phoneになったが現在のWindows Phoneを見ればわかるように、その後も端末の販売の低迷は続いた。

5Gが来たらどうなるだろう

ソニーは5Gに投資しているらしい。ノキアも今では5G用に基地局の研究開発、販売に力を入れているよう。またノキアの時代が来るのか。Appleは、Googleはどうなるだろう。サムスンの携帯端末のシェアはそう変わらない気はする。

また、5Gになりストリーミングサービスは増加、普及していくだろう。5Gだけでなく、ipv6やHTTP/3などネットはより改善されていく。

Stadiaを出したGoogleは未来を見ていそう。

私も先手打つような何かをやりたい。