はじめに
こないだバズっていたこのツイートを見て、引用元の書籍を買いました。
世界のキャラクターの市場規模マッピング
— たちつてと(舘俊男) (@noritama241) 2020年7月22日
日本が強すぎる pic.twitter.com/U1f59hmhzQ
書籍はこちらです。
日本のアニメ・漫画・ゲームといったサブカル産業がどうやってここまで発展してきたかということを個別の事情や文化的背景、経済的・経営的視点によりマクロに解説されています。本当に面白い。日本のサブカル文化に誇りを、クリエイターに尊敬を抱ける本です。
この本で勉強会をしたいなと思うくらい濃い内容でした。1回読んだだけでは理解しきれないのですが、現状の理解を書いていきます*1。
オタク経済圏とは
オタクが様々な形態で提供されるコンテンツを消費する経済圏という意味のようです。中心にいるのはアニメコンテンツです。
アニメ制作は出版、放送、広告代理店、玩具メーカー、アニメ制作、ライセンスマネジメントなど異なる業種が出資してアライアンスしています。そして原作者の監修の元、様々な形態で作品が展開され*2、関係者は投資を回収することができます。
これだけ様々なプレイヤーが関与するとコントロールが難しそうですね。ただ、うまくいくとオタクにとっては2次元から3次元まで心地よくコンテンツを消費することができます。そのようにして形成される経済圏がオタク経済圏といったところでしょうか。
商品のサービス化
オタク経済圏における商品はもはやサービスと化しています。これはとても重要なことで、商品とは違い、サービスはお客様とのやり取りの中で評価が決まります。
例えばスマホゲームもライブイベントもサービスであり、それぞれが行われるタイミングや繋がりを通して価値を提供します。そしてファン同士交流する場を提供したり、コミュニケーションを取る中で日々サービスを改善していきます。
サービス
サービスには4つの特徴があると言われています。
- 無形性 - 形がないので消費してはじめてわかる
- 同時性 - 生産と消費は同時に発生する
- 変動性 - いつどこで誰がサービスを提供するか変わる
- 消滅性 - 消費するとなくなる
これらを意識して、改善し提供し続けることを、アライアンスで行うというは相当難しいと思いませんか?
例えばアニメ放送終了時に、放送内容に連動したストーリー展開のあるスマホゲームをリリースするというようなことはあるかと思います。1社ならまだやりやすいかもしれませんが、複数企業がアライアンスとしてやっていくのは大変そうですね。
ちなみにこの形態は日本独特だそうで、例えばディズニーは垂直統合的にグループ企業内でメディアミックスをやっているそうです。
クリエイターと武士
日本でクリエイターは職種というよりも、武士のような身分として扱われているのではないかという話です。作家、漫画家、映画監督といった原作者は最後まで原作権として関与できます。米国では出版社に2次著作権まで全て独占されて、原作者の影響力は弱いようです。
クリエイターを尊重することで、サービスの質が担保され、経済圏の形成の手助けになっているのだと思います。
ライブコンテンツの提供
昔は皆がテレビを見ていたので、毎週放送されるアニメの話をして盛り上がることができました。それで十分ライブ感を出せたのですが、今ではテレビ放送もしくは1プラットフォームでは難しくなっています。このツイートで言われている通り、プラットフォームが様々でコンテンツの消費が分散しています。またソーシャルゲームやSNSがライブ感をつくる上で重要なプラットフォームになっています。
ちなみにこの図の主題はこちらの図で以下です
— たちつてと(舘俊男) (@noritama241) 2020年7月23日
実はもう漫画からはキャラクターはあまり生まれていない
結局はマスに届く規模での占有性の高いメディアで一定期間視線が集まる必要がある
=>
現代の視聴分散時代には難しい
=>
プラットフォームではなくコミュニティマネジメントの時代 pic.twitter.com/7K4U9jCpaA
3次元も含めた様々なプラットフォームで展開してようやくマスにリーチできます。
オタク経済圏で求められること
今ではマンガアプリやネット動画配信サービスで様々なコンテンツを見れます。漫画雑誌やテレビ放送の単体としての影響力は弱まっていますし、週刊だったり放送といったフロー型のコンテンツ消費のされ方はちょっと考える必要があるかなと思います。
例えば、今回バズっているツイッターを見て本を買いましたが、これが番組だったら見れないので行動に繋がりません。そう考えるとTVerは1週間は見れるのでポテンシャルありそうな気がします。ただTVerの広告は同じものが出すぎなのでうまくやれていない気がします。
SNSアプリもインスタ派・ツイッター派だったり好みのプラットフォームに分散しています。さらに1人が様々なプラットフォームを使い分けていたりします。
つまりこのような現状を考えると以下のことが求められるのではないでしょうか。
- 顧客中心主義
- 様々なタッチポイント(プラットフォーム含め)の理解
- ストーリーを理解しインサイトを探る(コミュニティマネジメント)
- アライアンスを組んで全体としてサービスを提供していく
気になる資料
バズったツイートのリプライで紹介されているのですが、以下の資料も気になっています。
おわりに
書籍を見て理解したことを書きましたが、私は全くの素人です。実際にコンテンツ事業をされている方にとってはとても有益な情報がたくさん書かれていると思います。
単純に読み物としても面白かったです。書籍で挙げられている90年代以降の変化を感じて育ったアラサーだからというのもあるかもしれません。